2021年オスカーノミネート作品で、いま上映されている映画は2本。
コロナの状況が、日に日に深刻になってくるなか、4月の初めに鑑賞しました。
ミナリは、
アメリカ合衆国南部のアーカンソー州にやって来た韓国系移民家族のストーリー。
農業で成功することを夢見ている父親ジェコブに振り回される一家に、次々と困難が降りかかります。
タイトルのミナリとは韓国語で香味野菜のセリ。
たくましい地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいと言われていることから、
子供のために親が懸命に生きるという意味が込められている。
不条理な運命に襲われても力強く立ち上がる家族の姿を描いています。
この映画では描かれていませんが、
いま、コロナ禍のなかで、アジアンヘイトクライムが各所で起きています。
アジアから移民して、異国の地でたくましく生きている人達が、今もなお、カラーの違いだけで、生きずらい状況にあるということが現実であるということを考えると、
ダイバーシティどころか、今回、
根深い分断が浮き彫りになってしまったと実感します。
それにしても、
韓国は、BTSといい、去年のオスカーのパラサイトといい、日本のエンタメ業界のレベルとこうも違うという現実。
日本も、頑張ってほしいなあ・・・・。
ノマドランドは、
リーマンショック後、企業の倒産とともになくなったネバダ州の企業城下町エンパイア。
ここに暮らしていた60代の女性ファーンは長年住み慣れた家と、最愛の夫を失ってしまう。
途方に暮れたファーンだったが、
キャンピングカーに最低限の生活必需品を積み込み車上生活『現代のノマド』として生活をはじめます。
日雇いの職を求め往く先々で出会うノマドたちとの交流とともに、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。
社会的に見放された現実を、
詩的でありドキュメンタリーのようで、
またロードムービーのような作品に仕上がっています。
この作品は、
年代も近い自分を投影して鑑賞しました。
主人公が、郵便番号ごと抹消されたという形でなくなっってしまった自分の街と、夫との思い出をいつまでも忘れないでたずさえていくため、新しく居を構えることをせず、(出来ず)
車上生活を決断し、その中で出会う
人と交わす会話が、とても心に刺さります。
人は皆、痛みを抱えて生きていく、
なんのために生きていくのか、自問しながら、
それでも生きていく。
主人公の心の痛みや、とりまく厳しい環境とのコントラストに、
アメリカ中南部の壮大な景色が、とても美しいです。
最後の場面の中で、
息子を自殺で失った男性との会話が、
とても、心に残りました。
コロナの状況が厳しくなってきましたが、この作品は、映画館の大きなスクリーンでぜひ観てほしいと思いました。